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芸工の郷土史家ブログ

2026-04-09
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皆さんこんにちは!
私は、杵島先生から「芸工の郷土史家(きょうどしか)」の称号をいただいた卒業生です。
今回は皆さんに芸工の知られざる宝物についてご紹介します。


春蘭(しゅんらん) という花の絵が描かれた、切り株のような丸太のようなこのガラスケースに入った置き物…。
この置き物は、鹿島神宮という神社の元大鳥居の一部を利用して作られた衝立(ついたて) です。
衝立(ついたて) とは今で言うパーテーション用の家具の一種です。
この衝立は六角大壤(ろっかく だいじょう) さんという昭和期に活躍した日本の漆芸家(うるしげいか) であり、東京藝術大学の教授を務めていた方が漆(うるし) で装飾しています。
もとはあの徳川家の末裔であり、政治家や林学者、神職、元日本漆工協会会長でもあった「徳川宗敬(とくがわ むねよし) さん」という方が家の床間に飾り、大事にされていたようです。
しかし、徳川宗敬さんがお亡くなりになり、ご遺族の方々が本校に寄贈したらしいのですが、
なぜ本校に寄贈されたのかというと、、、
本校の創立者(初代校長) である中島育子(なかじま いくこ) さんという方が簡単に言ってしまうと秩父のお殿様のお孫様にあたる方で世が世なら、お姫様にあたる貴族の方であったそうで、あの愛子様も通っていらした学習院大学にも通っていたそうです。徳川宗敬さんはそこの先輩だったとか。
その学習院大学で徳川宗敬さんのご遺族の方ともご縁があったそうです。
そして、学習院大学を無事卒業した中島育子さんは「愛泉会(あいせんかい)」という知的障がいを持つ子どもたちのための個人的な施設を作りました。
そして、愛泉会の活動が市から認められ、正式な学校として認可され、日本初の知的障がい者のための学校、「学校法人 愛泉会 芸術工芸高等専修学校」として色々な方々にその活動が知られるようになりました。
過去にはベアトリクス女王(当時のオランダ女王) に、生徒が作った作品を献上したり、オランダから当時王子だったウィレム=アレクサンダー国王が訪問に来たこともあったそうです。(※ガチです。元愛泉会の三上さんという方から直接お話しを聞きました。)
徳川宗敬さんのご遺族が本校への寄贈を決められたのは、そんな中島校長とのご縁に加え、宗敬さんが漆芸の発展を願っていたこと、そして当時本校に漆芸科があったことが理由であると推測されます。

さて、話しが長くなりましたがここからは衝立が鳥居だった頃にいた神社、「鹿島神宮(かしまじんくう)」についてご紹介します。
序盤で説明した通り、衝立は元々鹿島神宮という神社の大鳥居(ニの鳥居) と呼ばれる鳥居の一部でした。
(※これは当時、衝立が大鳥居だった頃の写真です。)
鹿島神宮は、国の重要文化財にも指定される茨城県 鹿嶋市にある神社です。
全国約600ある鹿島神社の総本宮で、神武天皇元年(紀元前660年)に創建されたと伝えられる、約2700年の歴史を持つ日本最古級の神社です。
日本神話最強の武神であり、雷や剣、武道の神様である 武甕槌大神(タケミカヅチノオオカミ)が祀られていることから、勝負事の開運神社として全国的に有名で、かつて藤原氏や源頼朝、足利尊氏などが訪れ、江戸時代に入ると徳川家から厚い信仰を受けて、社殿(しゃでん)などが建てられました。
また、サッカーの鹿島アントラーズが必勝祈願に訪れることでも有名で御手洗池(みたらしいけ) や要石(かなめいし) や鹿園など見どころも多く、人気の観光地です。
私も一度訪れた事がありますが、人気の観光地と言えども、行事ごとがない限り普段は程よい人出で、心置きなくゆっくり回ることができました。
景色も美しく、神社内にあるカフェもオシャレで、とにかく空気が最高においしいかったので皆さんも是非一度訪れてみてくださいね!
最後に、この衝立に描かれた春蘭(しゅんらん) について説明します。
花びらの部分には貝殻がはめ込まれれいて螺鈿(らでん) という技法が使われています。
現在は、花びらの螺鈿(らでん) がところどころ欠けて、剥がれてしまっていますが、この貝殻はおそらく最高級の国産のアワビ貝の厚貝(あつがい) が使われており、角度よって色が生きているように変化する様子はまさに、日本の歴史と神域の記憶を宿した「生きた文化財」です。
(※衝立に描かれた春蘭)
時の流れは人々から次第に記憶や関心を奪い、かつての確かな歩みも色あせていってしまいます。
それでも、私が在学中に調べたこの知識を最後にここに残したことで、誰かの感動を呼び、この特別な衝立をこれからも大切に受け継いでいってくださることを願っています。
そして、前々から作品名がなかったことが気になっていたので、この特別な衝立の作品名をお伝えして終わろうと思います。
完全に私の勝手につけた作品名にはなってしまうのですが、、、
春蘭の絵が描かれたこの特別な衝立の作品名は「春和(はるな)」です。
これは私がある日、衝立を眺めていたら、自然と浮かんできた言葉です。
この特別な衝立「春和」に温かい春の訪れが来ることを願って。


芸術工芸高等専修学校卒業生
芸工の郷土史家より
学校法人愛泉会芸術工芸高等専修学校
〒206-0001
東京都多摩市和田1717-2
TEL.042-375-7314
FAX.042-375-7345
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